所在地:福島県大沼郡会津美里町旭杉原村東乙94 創業:1865年 代表銘柄:回 Kai
人口2万人ほどの小さな町である会津美里町に蔵を構える男山酒造。1865年に創業し、代表銘柄「会津男山」を中心に福島や関東へも出荷する酒蔵でしたが、売上不振や人材不足の影響や、6代目杜氏の体調不良を機に1998年から約20年もの間休眠していました。その蔵の復活を成し遂げたのは、7代目杜氏の甥にあたる小林 靖さんでした。
小林さんは千葉県船橋市出身、前職では都内のIT企業に20年間勤務しており、酒造りとはもともと縁がありませんでした。しかし、母方の実家である男山酒造が無くなることを知り、幼い頃から蔵人の姿を見て憧れていた小林さんは、酒蔵を無くすわけにはいかないと決意。約20年間のIT企業勤務に終止符を打ち、酒造の復活に向け奔走しました。「会津中将」でお馴染みの鶴乃江酒造さんで2年ほど修行をしたり、“日本酒の神様”の異名を持つ鈴木賢二さんの指導を受けるなど、会津の人々からの協力を得ながら酒造りを一から学んだ小林さん。初搾りを飲んだ時は、涙が止まらなかったそうです。「わ」と名付けられた代表銘柄は、そんな人々とのつながりによって蔵を復活できた感謝を込めて。そして2022年の新酒から「回(かい)」に名称を変更。そこには原点を大切にし「人の輪」をもっと重ね広げ、さらに先を目指していく、という思いが込められています。休眠蔵の復活という難題を打ち破った小林さんが醸す男山酒造のお酒はやさしさのある旨みの中にも、芯が通った凛とした味わいです。会津の人々の繋がりを感じながら、ぜひお召し上がりください。