木戸泉(きどいずみ)│木戸泉酒造

木戸泉酒造 Kidoizumi syuzo
所在地:千葉県いすみ市大原7635-1
創業:1879年
代表銘柄:木戸泉 Kidoizumi
木戸泉独特の造り「高温山廃酛」の伝承
明治12年の創業の木戸泉酒造が大きな転換を迎えたのは、昭和31年。3代目蔵元の決断により、醸造法を「高温山廃酛」仕込みへと切り替えました。
通常の山廃仕込みは米麹と蒸米に仕込み水を加えて8℃前後で仕込み、自然界にある乳酸菌を取り込んで酒母を造りますが、木戸泉酒造では55℃で仕込みます。この温度は麹菌がデンプンを糖化する最適温度。さらに、雑菌がほとんど死んでしまう温度です。無菌状態にすることで、麹菌、乳酸菌、酵母菌がのびのび働いて、2週間で強い酒母が完成するのです。
天然の乳酸の可能性を追求し続け、健康や安全・個性をテーマに掲げて挑む「旨き良き酒づくり」。
揺らぐことのない木戸泉の蔵ビジョンのもと、邁進しています。
熟成酒の先駆け
高温山廃酛への切り替えから約10年、更なるチャレンジは長期熟成酒の製造でした。それまで、日本酒は製造後1年も経つと価値が下がるのが常でしたが、発売した古酒「オールド木戸泉」(のちの「古今」)は瞬く間に完売する人気となりました。
「長期間保存してもヘタらない酒造り」だからこそなせる業。
蔵には5年、10年、一番古いもので40年を超す古酒が今も熟成を重ねています。
ペアリングの可能性
蔵の代表酒と言われる「AFS(アフス)」は濃厚多酸酒。酸味の強い濃厚な味わいで、他に類を見ない特徴を持つ日本酒です。
日本酒は通常、原料の米・米麹などを3回に分けて仕込むことから三段仕込みと言われる仕込み方法が一般的ですが、この「AFS」は原料の米・米麹を一度に全て入れて仕込む一段仕込みという方法で仕込みます。
外食産業が日本に参入した頃の日本酒は、酸が少なく食事に負けてしまうこともあり、ワインのような酸味を持つ日本酒を模索した結果編み出された、木戸泉の個性の一つ。こうして、しっかりしたコクとふくらみのあるボディ、乳酸由来の酸味が食欲をそそる食中酒が生まれました。蔵元の女将曰く、ポテトチップスのコンソメ味にも合うのです…!